慧能
慧能は俗姓を盧といい、638年に嶺南の新州(現在の広東省新興)に生まれた。幼くして父を失い、薪を売って母を養い、字を知らなかった。ある日、市場で人が『金剛経』を誦むのを聞いて忽然と悟るところがあり、北のかた黄梅に禅宗五祖弘忍を訪ね、寺で八か月米を搗いた。五祖が弟子たちにそれぞれ偈を作って見解を示させたとき、彼は人に頼んで「菩提本樹無し、明鏡も亦台に非ず、本来無一物、何れの処にか塵埃を惹かん」と書いてもらい、五祖は夜半にひそかに衣鉢を彼に伝えた。南に帰って十五年隠れ住んだのち、広州や韶州で法を説き、「頓悟」の南宗禅を開いて禅宗六祖と尊ばれた。