外套/鼻ほか
近日刊行 この作品の翻訳は準備中で、近く書庫で刊行されます。
解説
「われわれはみなゴーゴリの『外套』から出てきたのだ」。ドストエフスキーの言葉と伝えられるこの一言は、この短篇がロシア文学に占める地位をよく物語っている。ペテルブルクの哀れな九等官アカーキー・アカーキエヴィチは、一生公文書を書き写して過ごし、同僚たちにさんざんからかわれてきた。長いあいだ食うものも食わずに金をため、ようやく新しい外套をあつらえる。それは彼の生涯で唯一の祝祭であった。ところがその最初の夜、外套は強盗に奪われてしまう。彼は「有力者」に助けを求めに行くが、逆に怒鳴りつけられ、家に帰って寝こんだまま死んでしまう。死後、彼の幽霊はペテルブルクの街頭で人々の外套をはぎとってまわる。『鼻』では、ある八等官が朝目を覚ますと自分の鼻がなくなっており、その鼻は五等官の制服を着て、馬車で町じゅうを訪問してまわっている。本巻はほかに『狂人日記』『ネフスキー大通り』『肖像画』などのペテルブルクもの短篇を収める。