方丈記
近日刊行 この作品の翻訳は準備中で、近く書庫で刊行されます。
解説
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」。『方丈記』は全篇わずか一万字ほどだが、この冒頭は日本文学のなかで最も名高い一節の一つである。長明は京の大火、辻風、遷都、飢饉、大地震をまのあたりにして人の世の無常を見つくし、いっさいを捨てて日野山に一丈四方の草庵を結び、独り経を読み、琵琶を弾き、花を摘み、木の実を拾い、山の童を友とする簡素な暮らしの楽しみを描く。だが最後に彼はみずからに問う。草庵の閑寂に執着することもまた、一つの執着ではないのか、と。